「僕が恐れていたのは、陰の本を大量に破った時、動体視力が上がり過ぎてミスが多くなることでした。」

「それで、陰の本を毎日1冊ずつ破るように言ったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。ここまでやってみて分かったのは、脳が緩んでも、体は簡単には緩まないということです。」

「それでは、渡辺さんの仮説が間違いだったということですか」と町会長。

「それがそうでもないのです。」

「と言いますと?」と町会長。

「陰の本で経絡の連鎖が進むと脳の機能低下が進んでしまうので、詰碁をしても脳は効率よく緩まないのです。ところが、陰の本を破ると、頸椎の1番と肺が緩み脳の機能も上がります。しかし、動体視力も大きく上がってしまうので、ミスも増えてしまいます。」

「難しそうな問題ですね」と町会長。

「そうなんですよ。それで、現在のところ、陰の本を少しずつ破り、詰碁で脳の機能を上げて、ミスを減らすという方法を取っています。」

「なるほど」と町会長。

「それで、うまく行くと思っていたのですが、しばらくすると、トイレから甘い臭いがするようになったのです。」

「それって、糖尿ではありませんか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「詰碁を100問連続で解いていても糖尿になってしまうのですか」と町会長。

「詰碁を100問連続で解いて糖尿になるなどということが起こるはずがないと思ったので、『100問連続で解けているのか』と再度聞いたら、『解けていない』というのです。」

「それで、考えたあげく、『2度読み、2手読み』という方法を教えてみました。」

「『2度読み、2手読み』と言いますと?」と町会長。

「実は、後で分かったのですが、初級の詰碁でも、初2段クラスが100問連続で解くのは難しいのです。」

「と言いますと?」と町会長。

「初級の詰碁なので、2,3手で詰むものが多いのですが、詰碁を作る側からすると、全問簡単に解かれるとまずいと考えるようなのです。」

「なるほど」と町会長。

「ですから、例えば、解答をみると3手で詰むようなものでも、第1手を直感的に打つと間違えるような問題があるのです。そして、1手目が間違いであるのに気がつくには、数手読まなければ間違いであることに気がつかないものもあります。」

「なるほど」と町会長。

2021/12/22

<水道後記90>
実は、母屋の北東の角には立水栓が2つ並んで立っている。右側の立水栓は水が出ないので左側の立水栓を使っているのだが、なぜ、立水栓が2つ並んで立っているのかとか、なぜ、水が出ないかについて分からなかった。

我が家は2世帯住宅なのだが、設計や大工の棟梁(とうりょう)との交渉は、図面の読み書きができて、木材や建具に対する見識がある母がやった。水道工事やその後の修理なども母の担当だった。棒術系である父と筆者は、自分がやりたいことだけをやっていて2世帯住宅には無関心だった。その結果、母が亡くなった今、水道の配管がどうなっているのかとかどういう修理したのかが全くわからない状態になっている。<続く>

2024/12/6